FC2ブログ
ファンタジア文庫『世話好きで可愛いJK3姉妹だったら、おうちで甘えてもいいですか?』11/20発売!
JK文庫『異世界からJK転生した元妹が、超グイグイくる。』11/30発売!
JUMP j BOOKS『ぼくたちは勉強ができない 未体験の時間割』12/4発売!

スクウェア・エニックスノベルス『スタンプ・デッド』1~5巻&コミック版、『太陽で台風』1・2巻発売中!
ガンガンノベルズ『魔法少女アーヤ☆アミー』発売中!
徳間デュアル文庫『魔王さんちの勇者さま』1~4巻発売中!
徳間文庫『欠陥妖怪住宅』、『パラレル家族計画』発売中!
ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ『ブチ切れ勇者の世界征服』1~2巻発売中!
HJ文庫『カンスト勇者の超魔教導』1~3巻発売中!
ファンタジア文庫『お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか』1~3巻発売中!
JUMP j BOOKS『ぼくたちは勉強ができない 非日常の例題集』発売中!

受賞歴:
2004年、第1回スクウェア・エニックス小説大賞『入選』
2008年、第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞『徳間デュアル文庫特別賞』
2017年、第11回HJ文庫大賞『銀賞』
2017年、ジャンプ小説新人賞’16 Winter 小説フリー部門『銀賞』
2017年、第30回ファンタジア大賞 『金賞』

«  | ホーム |  »

なんちゃってダイジェスト~お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか~

この街は、魔光少女を名乗る一人の女の子によって守られている。
 僕は彼女がどうやってその力を手に入れて、なぜ街を守ってくれているのか知らない。
 その正体も知らない。
 誰も、知らない。
 知らない、はずだったんだ。


 
――街を守る魔光少女。
――その一ファンに過ぎなかった平地護常が彼女の正体を知ってしまったのは、運命的なもの……。



「真帆、何度も言ってる通り変身を解く時には周りに注意しないといけないでチュウよ」
 驚き冷めやらぬ僕の耳に、そんな可愛らしい声が聞こえてきた。こっちからは庄川さんの背中しか見えないけど……いわゆるマスコットキャラ的存在でもいるんだろうか。
「わかってるよ、大丈夫だって」
 うん、あの、大変申し訳ないんですが……全然、大丈夫じゃないです……僕、目撃しちゃってます……マスコットキャラ的存在さんの言うこと、全面的に正しいです……。
「本当にわかってるんでチュウかねぇ……? いいでチュウか? これも、何度も言ってるでチュウけどね。もしも、マホマホの正体がバレちゃうとでチュウね……」
 バレると……? どうなってるって言うんだろう……?
 確かに、魔法少女的存在といえば正体がバレることによって様々なペナルティが課されるのが『お約束』。それは例えば、魔法少女的存在としての力を失ってしまうというものであったり、記憶を失ってしまうというものであったり、中には命に関わる場合も……。
 果たして、マホマホの場合は……?
「三十歳まで彼氏が出来ない呪いが掛かっちゃうんでチュウよ!」
 そ、そんなペナルティが……!? なんて、重……重……いや、重いけども!
 思ってた感じと違う! ちょっと深刻さが足りなくないですかねぇ!?


 
――かどうかは、微妙なところであったが。



 さぁ、庄川さん! 今のうちです!
 ここで変身するなりお手洗いに駆け込むなり、お好きにどうぞ!
 ………………庄川さん?
 どうしたのですか、庄川さん。どうして貴女までこちらを見ているのですか。
 今がチャンスなんですよ、庄川さん! 僕の犠牲を無駄にしないでください!
 ……って、庄川さん? なんだか口元をヒクヒクさせて、どうしたのですか?
「は、はは……面白いね」
 愛想笑いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
 今、そんな優しさいりませんから! 中途半端な優しさは余計に人を傷つけるのだということをご存知ないですか!? って、そうじゃなくて! その優しさは、苦しんでいる街の人々に向けてくださいよ! 苦しんでいると言っても、ちょっと自転車乗る時に違和感あるかなって程度のものですけども!


「そろそろ限界でチュウ……」
 咄嗟に鞄へと押し込まれていたイタチさんの、くぐもった声が教室内の空気を震わせた。
「あれ……? なんか今、変な声聞こえなかった……?」
「うん、聞こえた聞こえた」
「なんか、チュウ? みたいな?」
 今度は流石に皆さんの耳にも届いてしまったようで、教室内がざわつく。
 なにゆえ、主従揃って自ら窮地に全力ダイブするスタイルなんですかねぇ……!?
 やっぱり、ここは僕が一肌脱ぐしかないか……!
「二番、平地護常! モノマネやります!」
 突如高らかに宣言すると共に立ち上がった僕に、クラスメイトの視線が集まる。
「お題! もしもマホマホにマスコット的な存在がいたら!」
 って、何を超ストレートにバラしちゃってるんだ僕は!?
 えーい、こうなったら勢いで誤魔化すしかない……!


「あ、でもね……」
 何をおっしゃるつもりですか、庄川さん……?
 なんだか僕、あまりいい予感がしないのですが……。
「本当に、マスコット妖精が……」
「いやはや、妄想が過ぎてしまいましたね! 参った参った! そうですよね!」
 とりあえず、更なる墓穴を掘られる前にインターセプト!
「マホマホに、イタチに似たマスコット妖精がいるなんてお話など聞いたことが……」
「あ、チュウはイタチじゃなくてフェレットで……」
 せっかく引き上げたのに、自ら墓穴の中に戻っていこうとするのやめてもらえます!?
「じゃなくてぇ! フェレットに! 似た! マスコット妖精がいるなんて聞いたことがありませんものねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 
――あまりにしょっちゅう秘密をお漏らしそうになる中の人に、護常は一つの決意を抱く。
――すなわち。
――庄川さんの秘密は、僕が守らねば……! と。



「貴女は、庄川さんがどんな気持ちでお手洗いに行っていると思っているのですか!?」
 構わず僕は叫んだ。言ってやろうと思ったんだ。
 庄川さんは皆を守るため、恥を忍んでお手洗いに行っているのだと!
「どんな気持ちって……どんな気持ちなんだよ……?」
「それは……っ!?」
 だけどそこで、僕の中にいる比較的冷静な僕が待ったをかけた。
 あ、危ない……勢いに任せて、庄川さんの秘密を口走ってしまうところだった……。
「なんだってんだ……?」
 急に黙り込んだ僕に、旧クラスメイトさんは不審げな様子となってきている。
「庄川さんは、その……」
 くっ、どうにか誤魔化さねば……!
「こう、思っていらっしゃるのです……」
 えーとえーと……!
「そう! おしっこに行きたいな、と!」
「まんまじゃねぇか!? 合ってたよ完璧に!」


 
――その、はずが。
――それだけだった、はずが。



「僕と!」
 えーとえーと……だけど、何て言うんだっけ……!?
 さっき調べた結果を思い出せ……! えっとえっと……確か、友達として……!
「お付き合いしてください!」
 ……あれ? 何か間違えたかな?
「……あ、はい」
 いや、でも庄川さんからオーケイ貰えたし結果オーライだよね!


 わんすもあ。
 ――あ、はい。
 ……うん。
 これ私、イエスで答え返してるね。咄嗟に、頭の中にあった言葉出ちゃってるね。
 なーるほど、それで平地くん満足げだったんだ。
 愛の告白して、受け入れられたんだもんね。そりゃ、そうなるよね。
 おめでとう、カップル成立だよ!
 ………………。
 ……って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
 カップル成立しちゃってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?
 誰と!? 誰が!?
 私と! 平地くんが!
 だよね!?
 どうしようこれ!?


 
――なぜか生じる、すれ違い。



「ところで、早速で恐縮なんですがちょっと相談がありまして……」
 と、護常がおずおずと切り出してきた。
「遠慮すんなよ、なんでも言ってくれ」
 あぁ、俺に出来ることならなんだってやってやるつもりさ。
 俺にとってのヒーロー、その恋路が成就するようにさ!


 ソラ×ヒラ! きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 今(アタシの中で)最も話題のカップリングが、まさか公式になるとは……なんて美味しい場面に遭遇出来たんだ……! イマイチ会話の内容は聞き取れなかったけど、間違いないっしょ……! 夕日に照らされる教室に二人、真剣な表情で、最後に固く握手……! これが愛の告白の場面じゃなかったら何だってのさ……! 「君のことを近くで見ていたい」とか「感……てしまった」とか「(男)同士」とか聞こえたし……ヤバい、思い返すほどにヤバい……なにこれ、ホントに現実……? 実はアタシ、既に死んで二次元の世界に転生してたりする……? どっちにしろ、神様には感謝しかない……!


 
――外野からも、勘違い。



「根拠と言いますか……僕が、お付き合いしてくださいと申し入れまして」
 曖昧性ゼロだな!?
「庄川さんに、はい、と返答いただきましたので」
「それもう付き合ってるじゃん!?」
 返答もあまりに明瞭で、思わず叫んでしまった。
「はい? だから、付き合い始めだと言ったと思うんですけど……」
「あ、うん、ごめん。それは完全に付き合ってるわ。付き合いまくってるわ」


「……うん」
 意外なほどに強い意思を宿した目で、アタシを見つめ返してきた。
「平地くんが、あれだけ変わってくれたんだもん。私も、ちゃんと変わらないと」
 ……なるほど、確かに。
 推しカプの片割れが、あんなに頑張ったんだ。その傍にいようって女が、生半可な覚悟なわきゃないじゃんね。どうやら、アタシはまだチョーウンさんを見くびってたみたいだ。
「わかった」
 なら、こっちも覚悟を決めよう。
「チョーウンさん、全力で行くかんね!」
「は、はい!」
 かくして、アタシのチョーウンさん改造計画は幕を開けたのだった。


「庄川さんが可愛いだなんてわかりきっていること、今更それ言及する必要あります?」
 ……ふぇっ!?
「ふぇっ!?」
 あ、そのまま声でに出ちゃった……って、それより……今、なんて……?
 も、もう一回言って欲しいかも……なんて……。
「もちろん、今回のイメチェン? ですか? で、これまでともまた異なる魅力を見せていただけたのは確かですけれど。庄川さんの可憐さは、何があろうと絶対不変な真理ですからね。まさか、髪型やメガネ如き霞むことなんてありえませんし」
 ごめ、やっぱりちょっと止めてもらっていい!? 心臓が保たなさそうだから!
「お、おぅ……ヒラチ、意外と凄いこと言うね……」
 ほら、里崎さんも結構引き気味だし!
「凄いのは庄川さんのその愛らしさでしょう? むしろ僕は、こんな言葉でしか庄川さんのことを表現出来ない自分の語彙力の無さに絶望する思いですよ」
 止まんないね平地くん!?


「ありがとうございます……僕の気持ち、ハッキリと庄川さんに伝えることにします」
「お、その意気だ! 頑張れよ、護常!」
「はい、任せてください!」
 そう、次に庄川さんと二人になれた時にでもハッキリ伝えよう。
 僕が、どんな意図で庄川さんの傍にいたいと思っているのか。
 そして……決して変な壺や洗剤なんかを買わせたりするような意図はないですよ、と!


 
――それらが加速した末に。



「だから……もしも、許容していただけるのならば」
 私は、なんだか泣きそうになっていた。
「僕を、貴女の傍にいさせてもらえませんか?」
 間近で見つめてくる平地くんの顔を見ていると、、無限に心臓の鼓動が速まっていく。
「僕に、貴女を助けさせてもらえませんか?」
 自然と開いた、私の口から。
「……はい」
 そんな返答が漏れるのと、同時だった。
 突然……今まで言葉に出来ていなかった感情に、付けるべき名前がわかった。


「私ね、平地くんに聞いてもらいたいことがあるの」
 その声は少し震えていて……だけど、どこか揺るがぬ芯のようなものも感じられる。
 聞いてもらいたいことっていうのが、ただの雑談じゃないことは明白だった。
 ……というか、これは。
 この、強い緊張感を伴った雰囲気は。
 まさか。
 まさか、庄川さん。
 告白する、おつもりですか……!?


 
――その恋は。



「ごめんね。そんな顔、させちゃって」


「僕は、どうすれば良かったのでしょう」


 
――その関係は。



「おいおい、いつも全力な平地護常はどうした? 庄川さんのためならなんだって出来るって勢いだったじゃんか。もう諦めるのか? それでいいのか?」


「おわっ!? いや、あの、違くて! 別にアタシは出歯亀するつもりはなかったっていうか、愛の行方を見届けたかっただけっていうか……!」


 
――どこに向かっていくのか。



「庄川さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


 
――これは、彼ら彼女らの。



「なのにどうして平地くんは、私を助けてくれるの……!?」


 
――笑いと青春と。



「僕は、貴女の隣にいたい」


 
――愛の、物語。



「ふぅ……でも確かに、たまにお風呂っていうのもいいでチュウね……あ、真帆、もうちょっと背中の方を洗って……うん、そうでチュウ……気持ちい……気持ち……ちょ、強すぎでチュウ!? あひぃ!? 気持ちよすぎて壊れちゃうでチュウ!?」


 
――たぶん。




お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか (ファンタジア文庫)
はむばね
KADOKAWA (2018-01-20)
売り上げランキング: 7,458
スポンサーサイト



«  | ホーム |  »

プロフィール

hamubane

Author:hamubane

たぶんライトノベル作家的なもの


Twitter

既刊情報

最新コメント

最新記事

カレンダー

12 | 2018/01 | 02
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

月別アーカイブ

カテゴリ

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
日記
68位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
27位
サブジャンルランキングを見る>>

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR