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受賞歴:
2004年、第1回スクウェア・エニックス小説大賞『入選』
2008年、第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞『徳間デュアル文庫特別賞』
2017年、第11回HJ文庫大賞『銀賞』
2017年、ジャンプ小説新人賞’16 Winter 小説フリー部門『銀賞』
2017年、第30回ファンタジア大賞 『金賞』

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なんちゃってダイジェスト~カンスト勇者の超魔教導2~


――バーキャ王国第八王女、メイ・スキュール。
――『出来損ない』と呼ばれていた彼女の運命は、とある師弟に出会ったことで大きく変わり始めていた。
――そんな彼女は、今……。



「ヒャッハー! 観念しなぁ!」
「俺たちトリーム団から逃げられると思うなよぉ!」
「姐さん、右手側の方お願いシャス!」
「わかったわ!」
 メイは、むしろその不埒な盗賊団側に属しており。
「大人しくしていれば怪我はさせないわ! 素直に荷を渡しなさい!」
 今まさに、馬車の荷を奪わんとしているところなのだった。
「んはは、そうだー! 奪えー! 奪うのだー!」
 後方では、特に何をするでもないキリがご機嫌な調子で高笑いを浮かべている。
「奪い尽くすですー!」
 そして最前線では、これまた楽しげにエイムが護衛の者の武器を折ったり馬車の車輪を破壊してたりしていた。キリとエイムも、いつもの服装ではなくメイと……そして、盗賊団の面々とお揃いの格好である。



――盗賊団員となっていた。



(……私、なんでこんなことやってんのかしら)



――その始まりは、ただの偶然。



「止まれぃ……!」
 一行の行く手を塞ぐ形で、左右の木々が揺れて人影が飛び出してくる。
「俺たちゃ、泣く子も黙るトリーム団……!」
「命が欲しけりゃ、金目のモノを置いていきな……!」
「あと、食料も……!」
「というか、出来れば食いもんを重点的に……」
 そんな声と共に現れたのは、屈強な男たち………………では、なかった。



「……ねぇキリ。それ、本当に魔法使ってないの?」
 キリの後を歩きながら、メイは疑問の声を投げた。
「魔法、って形じゃ顕現させてないかんね。相手の魔力にちっと干渉してやってるだけさ。人間脆いもんで、身体ん中の魔力が乱れるだけで立ってることも出来なくなるんよね」
「だけって……他者の魔力に直接干渉するだなんて話、聞いたことないんだけど……」
「ま、聞いたことがないってのとありえないってのはまた別のお話ってことよな」
「確かに、アナタに会ってからはそんな経験ばかりね……」
 現代の人類に使用出来る最高位を遥かに超える高階位魔法を使ったり、既知の魔法を想像もしていなかった方法で使ったり。そういったことを思い出すと、確かにこの程度いちいち驚くほどのことでもないかという気がしてくる。
 そんな風に考えている自分に、だいぶ「毒されてるな」とメイは苦笑を浮かべだ。
「ここは行かせ……ぐぁ!?」
「待……ぐはっ!?」
「そっちは……ぐべっ!?」
 キリの行く手を阻める存在は、何もない。あえて言うならば、キラキラとした目でキリの真似をしようとして「こらこら、そんな乱暴にぶっ込んだら普通に死んじゃうからやめときなさい」と止められているエイムくらいか。
「んはは、にしてもわざわざお宝の在り処を教えてくれるたぁ親切さんばっかだな」



――襲ってきた盗賊たちを、逆に襲い返し。
――そして。


口絵1公開用


「おはようです?」
 自分を見つめる瞳がもう一対あることに、遅れて気付いた。
 他に比べて、随分低い位置にあったからだろう。
 どこか不吉さを予感させる、血の色のような……なのに、なぜか目が離せなくなる光を宿している瞳。全ての光を吸い込んでしまいそうな漆黒の髪が、サラリと揺れる。見た感じ、自分よりも少し年下くらいか。しかしそのあまりに整った造形は作り物めいてさえ見え、これが彼女の完成形なのだと言われても十二分に納得出来る。
「ボクはエイム! 立派な魔王を目指して修行中の身なのです!」
 けれど、ニコリと笑うと途端に幼さが前面に表れて。
 ようやく、彼女が血の通った生物であると認識出来た。
「あ、あぁ……オレは……」
 エイムと名乗った少女が、後半何を言っているのかはよくわからなかったけれど。
「カッチェ……」
 その瞳に見つめられていると、何かを言わなければいけないような気がしてきて。
「トリーム団の頭領、カッチェだ」
 カッチェは、気が付けばそう名乗っていた。



――二人の少女は、出会った。



「安心して欲しい!」
 そんな彼らに、キリはニッと笑って見せる。
「このキリ・タカゼキによるブートキャンプが終わる頃には、全員がこのくらい余裕で建てられるようになっている! そんな己の姿を、頭の中に思い描いてみよう!」
 そこで、少し間が空いた。
 カッチェを筆頭に、トリーム団の面々はどこかうっとりとした表情となっている。恐らく、キリに言われた通りに理想的な自分たちの姿を思い浮かべているのだろう。
 一同の心にキリの言葉がスルリと入っていく様が、見て取れるようだった。
「さぁ、諸君!」
 もう一段階声を大きくして、キリは大きく手を広げる。
「家を! 建てるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
 その応答には、最初に提案した時は比べ物にならない程の熱量が込められていた。
「建てるです!!」
 なぜか、エイムのやる気まで上昇している様子である。
 そんな光景に。
(見事に煽られてるわね……)
 一人、冷静な立場で苦笑を浮かべるメイであった。



「綿の群生地……? 材料の持ち込みをしたってこと?」
「いや? そのまま俺が使ったんだけど?」
「……うん?」
「うん?」
 何やら認識に齟齬が生じているような気がしてメイが首をかしげると、なぜかキリも首をかしげ返してきた。
「今の言い方だと、アナタが手縫いしたように聞こえるんだけど……」
「えっ、そう言ったつもりだけどわからなかった……?」
「ちょっとやめて、その可哀想な子を見る目。微妙に久しぶりだけど、全然懐かしい気持ちにもならないし」
「じゃあ、また哲学の話でもする?」
「何がじゃあなのかわからないし別にしたくもないしそもそもアナタと哲学の話をした覚えもないわ……って、そうじゃなくて」
 またも果てしなく話が脱線していきそうな予感を覚えて、メイはコホンと咳払いを挟む。
「アナタ、お裁縫まで出来るの?」
 また一つ、キリの新たな能力が発見されたようである。
「あれ、言ってなかったっけ? 俺と弟子っ子の服も俺が作ったんだけど」
「初耳だけど……」



「姫さんって、本当に姫なのか疑わしい場面の方がどっちかっつーと多いよな」
「……褒め言葉として受け取っておくわ」
 実際、メイとしてもお姫様然とした振る舞いをしているつもりはない。
「んはは、褒めてる褒めてる」
「それ、狂戦姫的な意味でじゃないわよね……?」
 いつも以上に緩い笑みを向けてくるキリを、半目で睨む。
「え、狂戦姫って何その不気味なフレーズ……姫さんの発想力が怖い……」
「アナタねぇ……」
 わざとらしくドン引きの表情を返され、メイの頬がヒクついた。
「んはは、悪ぃ悪ぃ」
 キリが顔に笑みを戻す。言わずもがなではあるが、からかわれただけらしい。
(まぁ、冗談を言い合うっていうのも親しくなった証よね……)
 そんな風に、自分を納得させる。
(……割と、最初の頃からこんな扱いだったような気もしなくはないけど)
 直後に浮かんできた考えについては、気のせいだと思い込むことにした。

口絵2完成公開用完成



――盗賊団での、穏やかな(?)日々。



「ボクも、おとーさんおかーさんのこととか全然知らないです! でも、ししょーがいるからだいじょぶなのです!」
 エイムが、手を上げてピョンピョンと跳ねる。
「ボクも、ししょーに全部もらったです! だから、ボクの全部をししょーに返すです!」
 それは、以前にも聞いた言葉だ。
 記憶を失ったエイムにとっては、キリと過ごした時間だけが全てで。
 全てを与えてくれたキリのために生きて、彼のために死ぬのだと。
 その感覚は、未だメイにはわかりかねるところだったが。
「おっ、そうなのか。わはは! じゃあオレたち、お揃いだな!」
「お揃いです!」



「んはは。ま、その分伸び代と成長速度は折り紙付きだ。焦らずゆっくりやんな」
 雰囲気を緩め、キリはもう一度カッチェを撫でる。
「そんかわし、今日の午後は自由時間にしていいとしよう」
「ホントか!?」
「んはは、好きに野山駆け回るのもまた鍛錬だ」
 神妙だったカッチェの顔に、パッと笑顔が咲いた。
「じゃあエイム、昼からはとっておきの場所に案内してやるよ! なんとそこには……おっと、これ言っちゃダメだな。わっはは! 見てのお楽しみだ!」
 大口開けて、豪快に笑う。
「はいです! 楽しみです!」
 ニコニコと、エイムの笑顔もいつも以上に輝いていた。
「おら、その前にまずは飯だ。とりあえず、シャワー浴びてその泥全部落としてこい」
「おぅ!」
「りょーかいです!」



「あの花とあの花は、食べられるです。あっちのは、根っこに毒があるので注意が必要なのです。あれは、食べられるけどちょっとマズいのです。それから今あそこの花に寄っていってる虫は、炒めると結構おいしーです」
「お、おぅ……それは、女らしさ……なのか……?」
 なんとなく違うような気はしたが、一応疑問形に留めておく。
「つーか、アニキはそんなことまで教えてくれんのか……」
「ししょーも教えてくれるですけど、今のはメイさんに教えてもらった知識なのです」
「お、おぅ……」
 カッチェの中で、やはりこれは女らしさではないとの確信が生まれた。




――姉妹のように仲良くなった少女二人も、元気に明るく過ごしていた。



「まー、実際さぁ。姫さんは、何のキナ臭さも感じてないわけ?」
 特に隠す気もなかったのか、キリはあっさりと語り始める。
「こいつらの最初のヘッポコっぷりは、姫さんも知っての通りだ。なら、そんなヘッポコ共を率いて十年近くも盗賊団やってた前団長ってのは何者だ?」
 それは確かにメイも当初から思っていたことであり、昨日トリーム団の成り立ちについて聞いてからますます疑問を深めた部分でもある。
「そんな団長が抱えてた赤ん坊ってのはどこで拾ってきたもんなんだ? まして……」



――けれど、それは永久に続くものではなく。



「あっ……あっ……」
 カッチェの口からは、もう呻きとも吐息とも取れないようなものしか出てこない。
(オレ、死ぬのか……)
 胸を占める感情は、恐怖を通り越して諦観とも呼ぶべきものへと変わっていた。
 仇を前にしながら、怒りを抱く余裕すらも失っていた。
(オヤジみたいに、殺されるのか……)



「じーさんも知らねーってことは、ここ三百年でメジャーになった現象ってわけでもなさそうだな」
「少なくともワシの耳には入っとらんな」
 そんな風に話し合うキリとバークレイの傍ら。
「……いや、二人共呑気に喋ってる場合かよ!? どうすんだ、あれ!?」



「ふざけ……」
「ふっざけんな!」
 メイの言葉に被さったのは、幼さの残る少女の声だった。
「てめぇが……! てめぇが皆の村を……! オヤジを……!」



――明らかになっていく、過去の因縁。



「ししょー」
 すると、エイムの表情は前向きなものとなった。
 その目には、決意の光が宿っているように見える。
「ボク、カッチェさんたちを助けるです!」


――ある者は、成長を見せ。




「オレをどうするつもりだ……?」
 カッチェに出来るのは、より一層力を込めて睨むことくらいだ。
「まぁ、そう急ぐこともあるまい。もう少し昔話に付き合いたまえ」
 ジンは、何の痛痒も感じた様子はない。
「お前がお前として存在していられる時間も、もう残り少ないのだからね」



――ある者は、思惑を抱き。



(俺は……何だ……?)
 いくつもの戦場を通り過ぎる。
 それは、かつて実際に駆け抜けた光景。
 実際に目にした地獄。
(俺は……高関桐……)



――ある者は、『何か』に囚われる。



「キリ……?」
 しばらく待ってみても、キリは一向に動こうとする気配を見せない。
「……開けるわよ?」
 メイは、そう断って扉の前に立った。
 深呼吸一つ。
 ゆっくりと、扉を開けていく。



――絡み合う運命を前に、メイは何が出来るのか。
――その先に、何を見るのか。



「死ね」



――勇者と。



「消えるです」



――魔王と。




「キリィィィィィィィィィィィィィィィィ!」



――お姫様。



「じゃあな……また会おうぜ!」
「はいです! また、です!」



――彼らの物語が、どんな終焉を迎えるのか。



(って、深い絆だなんて……それじゃ、まるで深い関係になりたいみたいじゃない……! いやまぁそりゃなりたくないわけじゃないけど……って、そうじゃなくて! これは、その……仲間として! そう、あくまで仲間としてだから! エイムちゃんやバークレイ様と一緒に、その、そういう感じのアレだから!)



――今はまだ、誰にもわからない。



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