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受賞歴:
2004年、第1回スクウェア・エニックス小説大賞『入選』
2008年、第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞『徳間デュアル文庫特別賞』
2017年、第11回HJ文庫大賞『銀賞』
2017年、ジャンプ小説新人賞’16 Winter 小説フリー部門『銀賞』
2017年、第30回ファンタジア大賞 『金賞』

2019-12

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過去SS更新:スタンプ・デッド昔話 ~桃太郎 episode4 オーパーツの追従~

 犬の代わりに死神見習いを仲間に加えた彗くんは、さらに鬼が島を目指します。
「さて、この辺で猿が仲間になる予感がするんだが……」
 今度は猿探しモードに入り、彗くんは目を皿のようにして猿を探します。
 どんな猿なんだろう。ニホンザルなんだろうか、意表をついてリスザルとかなのだろうか。日光猿軍団での勤務経験はあるのだろうか。
 彗くんはこれから出会うことになるであろう猿に思いをはせます。
 本来ならば、そんな彗くんの耳の猿の鳴き声以外は入ってこないはずでした。
  ブロロロ……
「……ん?」
 しかし、さすがの彗くんもその音を意識の外にはじき出すことはできなかったのです。
「何の音だ?」
  ブロロロロ
 音は後方から、徐々に近づいて来ているようでした。
 彗くんと死神見習いは後ろを凝視します。
 すると、やがて二人の視界にそれは飛び込んできました。
  ブロロロロー!
「な……!?」
 それは軽トラでした。
 薄汚れた白は、その軽トラが数々の道を走ってきたことを物語っています。
 その筋の人々を魅了してやまない美しいフォルムが、彗くんの前で止まります。
「鬼が島まで行くの?」
 そして窓を開け、顔を出したのは無表情でした。
 彗くんが持つ、朱麗さんからもらった『鬼が島まで』と書かれたヒッチハイク用の旗に目を向けています。
「それなら方向一緒だから、乗って行っていいよ」
 無表情は、淡々とそう言います。
 そのあたりで、ようやく彗くんは遥か彼方へと旅立っていた自分と再会することができました。
「ってお前、さすがにそれはダメだろ!」
「なにが?」
 無表情は首をかしげます。
「時代考証! こんなあからさまに出てきちゃダメだろ! せめて会話の中だけくらいにしとけよ! 百歩譲ってヒッチハイクはいいとしても、この時代なら馬車とかだろ!」
「馬車がいいの? わかった」
 頷いて、無表情は顔を引っ込めます。
 そして、自らの乗る軽トラの運転席で言いました。
「チェンジ、馬車」
 するとどうでしょう、無表情の乗っていた軽トラの形状が見る見る変化していくではありませんか。
 彗くんたちの見ている前で、軽トラはたちまち見事な馬車に変わりました。
「はい、これでいいでしょ」
 無表情が再び顔を出します。
 彗くんは、今度は比較的近場までしか旅立っていなかったらしい自分を呼び戻します。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? なにそれ、何の力!?」
「科学の力」
「魔術の力とか言っとけよそれならまだごまかしきくんだから! 現代のテクノロジーも超えちゃってるじゃねぇか!」
「まぁ、その辺は気にせずに」
「いられるか!」
「それじゃあ彗さん、せっかくだから乗せていってもらいましょう」
 必死に現実への抵抗を試みる彗くんをよそに、死神見習いはさっさと無表情の馬車に乗り込みます。
「何勝手に乗ってんだよ!」
「いいじゃないですか。歩いて行くと疲れますし、履き慣れていない靴だと靴擦れを起こす可能性だって……」
「だから慣れてる靴だから大丈夫なんだよ! でもってこの時代は草鞋とかそんなの!」
「じゃあ出発しようか」
「あ、こら勝手に俺を乗せるな!」
 こうして、彗くんの了承を得ることなく半ば強制的に無表情が仲間になりました。
 鬼が島は、もうすぐそこです。




 つづく

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