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受賞歴:
2004年、第1回スクウェア・エニックス小説大賞『入選』
2008年、第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞『徳間デュアル文庫特別賞』
2017年、第11回HJ文庫大賞『銀賞』
2017年、ジャンプ小説新人賞’16 Winter 小説フリー部門『銀賞』
2017年、第30回ファンタジア大賞 『金賞』

2019-09

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他SS更新:ペイシェント彗① ~熱いあいつ~

「最近、彗さんが熱いんです」
 開口一番、円花はそう言った。
 場所は神無砂希学園小会議室。
 申請さえすれば、基本的に誰でも使うことができる部屋だ。
 本日そのにいる人間は三人、それと死神(見習い)が一人。
 人間側の面子は、辻樹弓、襟木真、そして。
「……死之神先輩」
 井上秋乃は、静かに立ち上がった。
「あれですか? ノロケですか? 昇神先輩と熱い夜を過ごしてるぜってことですか? ていうかぶっちゃけケンカ売ってますか? 買いますよ?」
 秋乃が一気にまくしたてる。
 表情がないのが逆に恐ろしかった。
 そのプレッシャーに一歩下がりつつ、円花は慌てて首と手を横に振った。
「い、いや違うんです! 熱いですよ物理的に! 身体が熱いんです!」
「昇神先輩のことを考えただけで身体が熱くなるってことですか。しかし、きっと私の方が熱く……」
「井上秋乃さん」
 秋乃の言葉を遮って、真がコップを差し出す。
「カルシウム」
 中には白い液体が注がれていた。
「あ、牛乳オ・レですね?」
 円花が嬉しそうに言う。
 が。
「いや。ただの牛乳」
「……そうですか」
 即座に否定され、円花は若干うなだれた。
 そもそもただの牛乳と牛乳オ・レにいかほどの違いがあるのかという疑問はあったが、その辺りはスルーして秋乃は受け取ったコップの中身を一気に飲み干した。
「……ふぅ」
 空になったコップを机の上に置き、幾分冷静になった目で秋乃。
「……続きをどうぞ」
「あ、はい」
 先ほど下がった分の一歩を戻し、円花は続ける。
「とにかく、昨日から彗さんの熱がすごいんですよ。肩に触っただけで、服越しでも熱さが伝わってくるんです」
「それはマズいかもしれない」
 真の発言に、一同の視線が集まった。
 視線の中心で、真はいつも通りの無表情で淡々と言う。
「例えば、ネッタイシマカという虫に刺された場合などが想定される。初期症状は発熱。数日後には発疹が全身に現れ始め、そこからさらに数日放置すると最悪の場合」
 一拍置かれた間に、円花と秋乃が息を呑む。
「死に至る」
 そう続くとはわかっていたが、実際に言葉として紡がれるとショックは大きい。
「その、なんとか蚊っていうのに、彗さんが刺されたと?」
 緊張の面持ちで、円花が尋ねる。
「あくまでも可能性の話だけど」
「そんな……早くなんとかしないと!」
 立ち上がろうとした秋乃を、真が手で制す。
「たぶん大丈夫」
「大丈夫って……」
 不安げに真を見た秋乃の表情が、何かを閃いたように輝く。
「もしかして、ワクチン持ってるとか?」
「いやないけど」
「じゃあ……」
「ネッタイシマカの主な分布はアンゴラ、カメルーン、ガンビア、ギニア、マリ、ケニア、ナイジェリア、スーダン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ペルーなど。日本にはまずいない」
『……………………』
 一同、一瞬の沈黙。
「……じゃあ、次の可能性について考えましょうか」
 秋乃が仕切りなおす。
「彗さんがいないとツッコミ不在で大変ですね……」
 小さく円花が呟く。
「それにしても、彗さんはいったいどんな難病にかかってしまったんでしょう?」
「治療法がある病気ならいいんですけど……」
「他の可能性としては……」
 円花、秋乃、弓の話し合い。
 円花が彗の諸症状を話、真や秋乃がそれに対する可能性を述べる。
 そんな流れが、何度か繰り返された頃。
「……て、いうかさ」
 それまで沈黙を保っていた弓が口を開く。
「普通に風邪なんじゃない?」
『……………………』
 一同、再び沈黙。
 ただし、今回は円花の秋乃の顔が驚きに染まっていた。
 「それだ!」とでも言いたげな表情だった。
 日本一紙一重の天才が多い学校、神無砂希学園。
 そこに通う生徒たちがその結論に至るまでに要した時間は、実に2時間52分であった(円花に関してはプラス約一日)。



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