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受賞歴:
2004年、第1回スクウェア・エニックス小説大賞『入選』
2008年、第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞『徳間デュアル文庫特別賞』
2017年、第11回HJ文庫大賞『銀賞』
2017年、ジャンプ小説新人賞’16 Winter 小説フリー部門『銀賞』
2017年、第30回ファンタジア大賞 『金賞』

2019-09

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お題SS更新:を 「をいをい」

 とある海沿いの倉庫の前に、茶玖は立っていた。
 手には封筒。
 地図と、「ここに来い」という意図が書かれた手紙が入っていた。
 一枚の、写真と共に。
「……チッ」
 一つ舌打ちして、茶玖は倉庫の中へど足を踏み入れた。


 ガラッ。
 意識して大きな音を立てた茶玖に、倉庫中の視線が集まった。
 いわゆる一つの、頬に傷がありそうな人たちが沢山いた。
 しかも、今まさにボスっぽい人たちの間でアタッシュケースの受け渡しが行われているところだった。
 中はわからないが、恐らく一般の方が一生触れることのないようなブツであることは間違いないだろう。
「なんだてめぇは!」
 比較的茶玖に近いところにいた、若い男が懐に手を入れる。
 何かが出てくるであろうことは明らかだったが、しかし茶玖は不敵に笑った。
「をいをいをいをーい、随分楽しそうな奴らが集まってるじゃねぇか」
 いつもと何ら変わらぬ足取りで、茶玖は中心へと歩みを進めていく。
「て、てめ!」
 先ほどの男が取り出したのは、やはり黒光りする拳銃だった。
 一瞬の躊躇を見せたものの、男は容赦なく引き金を引く。
 火薬によって発射された鉛球は、一直線に茶玖のこめかみに向かい……しかし到達する直前、空中でピタリと静止した。
「なんだ……? どうなってる?」
 男たちの間に困惑が走る。
「チッ……おい、アンタの客人か?」
 ボスっぽい人の片割れが尋ねる。
「いや。そっちでもねぇんだな?」
 もう片方のボスっぽい人も尋ね返す。
「あぁ」
「てことは……」
 ボスっぽい人達は、一瞬目を合わせ。
『ぶっ殺せ!』
 それぞれの部下へと、そう命じた。
 男たちが手に手に武器を取り出す。
 そして、発砲。
 倉庫内が騒音と煙、火薬の匂いに包まれる。
「なんだったんだ、いったい……」
 面倒くさそうに、ボスっぽい人が鼻を鳴らす。
 やがて、煙が晴れた。
 誰もが、原形もとどめていない人型が床に転がっていることを想像しただろう。
「ったく、いきなり五月蝿ぇんだよ」
 耳を小指でほじりながら、茶玖が先ほどと変わらず歩みを進めている。
『!?』
 一同に、今度こそ大きな動揺が走った。
 しかし、茶玖はそんなことを一切意に介さない。
「いちいち目についた奴にケンカ売るほどオレも若かねぇ。返すもんさえ返しゃ、何もせずに帰ってやんぜ?」
 眼帯に隠されていない方の目で、ボスっぽい人達を睨みつける。
「お、おい! なんか知らないが早く返してやんなよ!」
「はぁ!? そっちだろ!?」
 互いに、ボスっぽい人達がもう片方に詰め寄る。
「……?」
 その様子に、茶玖は首をかしげた。
「オレもどっちかは知らねぇけど、どっちか心当たりくらいあんだろ? ほら、人質だよ人質」
『人質?』
 二人のボスは、同時にポカンと口を開けた。
 何かを隠している様子は一切見られない。
「……? どうなって……」
 茶玖の頭の上に、疑問符が増えた時である。
「なんだ、もう入っていたのか。意外とせっかちだな」
 倉庫の入り口から、そんな声が聞こえた。
「あ゛ぁ!?」
 驚きの表情で茶玖が振り返る。
 悠々と、朱麗が歩いてきているところだった。
「お前、なんで、え……?」
「なんだね? まるで幽霊でも見たみたいに」
 明らかに動揺している茶玖に、朱麗は首をかしげた。
「いや、これ……」
 茶玖が封筒を見せる。
 例の地図と手紙が入っていた封筒だ。
「あぁ。それは私が出したものだが?」
「はぁ!? お前が出したのか!?」
 なんでもないことのように言った朱麗に対して、茶玖の驚きは劇的だった。
「何をそんなに驚いている? それを見たからここに来てくれたのだろう?」
「そりゃそうだけどよ……じゃあ、この写真は……」
 と、茶玖は同じ封筒からから写真を撮り出した。
 写真の中心に写っているのは朱麗。
 その周りには、ここにいるようなお兄さんたちが沢山写っていた。
「あぁ、よく撮れているだろう?」
 写真を受け取り、朱麗は満足げに頷いた。
「今回のターゲットと一緒に撮ったんだ。それで、最後の望みがここの二組織の壊滅だっていうんでね。ついでだから君に手伝ってもらおうと思ってね」
「なんでそんな写真を一緒に入れんだよ!」
「その一枚で状況は伝わるかと思ってね」
「伝わらねぇよ! むしろだいぶ誤解したよ!」
「ふむ……?」
 朱麗の頭の上に疑問符が浮かぶ。
「しかし、君はちゃんと来てくれているじゃないか。一体何を誤解したんだい?」
「ぬ、それは……」
 茶玖の口元がひくつく。
 ほんの少しだけ、頬が赤くなっていた。
「えぇい、んなこたいい! とにかく、こいつらぶっ飛ばせばいいんだな!?」
 そんな顔を隠すように、茶玖は朱麗に背を向けた。
「あぁ。しばらく動けない程度にな」
「クソ、やってやらぁ!」
 ヤケクソのように、茶玖は男たちの中心へと飛び込んでいった。
 鎌を使うのも面倒とばかりに、素手で相手を殴り飛ばしていく。
「おー、快調だなぁ」
 本来は自分の仕事だろうに、まるで他人事のように朱麗はその様を眺めていた。
「なんだか荒れているようだが、何か嫌なことでもあったんだろうか?」
 首をかしげる朱麗の目の前で、着々と組織は壊滅へと向かっていくのだった。





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