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2017-08

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なんちゃってダイジェスト~ブチ切れ勇者の世界征服 1 ~

どうも、はむばねです。
いよいよ明日発売!
というわけで、なんちゃってダイジェストはじめるよー\(^o^)/






――須藤優武、17歳。
――職業:高校3年生
――異世界での職業:救世主



「大体アンタら、危機感が足りないよな。いざとなればアイツに任せときゃいいか、とかそんな感じで考えてるだろ。とりあえず呼んどくかみたいな」
「そのような事は決して……」
「まず今回の状況がとりあえず呼び出しとくかって感じにしか見えねぇだろうが」
 心当たりがあるのか、頬を引き攣らせたエィク王に優武が指摘する。
「つーか二十七回のうち、三分の一くらいは別に俺いなくても良かったよな? なんか俺の事便利屋扱いしてるよな? しかもこちとら無償だよ」
「いや、毎回結構な報酬を……」
「この世界の金とか便利アイテムとか、使えねーんだよ俺の世界じゃよ! 受験に何の役にも立たんわ!」
 叫んでから、優武はまた大きく息を吐いた。
「……決めた」
 今度は大きく息を吸い込む事もなく、静かに告げる。
「俺、魔王側に協力するわ。そんで、世界征服する」



――救世主、やめました。
――世界征服、はじめました。



「魔王軍までたるんでるってどういうことだよ。もっと、俺達世界征服するぞ、人間ぶっ殺すぞ、って気概を見せろよ。その点、前の魔王軍は凄かった。魔王城の近くで人間になんて出会おうもんなら問答無用、即襲いかかってきた。殺伐としてた」
「は、はぁ……」
 何と言っていいやらわからない様子で、鳥頭が曖昧に頷く。
「それに比べて、なんだこの体たらくは。片や誰何を試みようとした上にドロップキック一発で撃沈。片や、敵がこんなにも隙を見せて長々と喋ってるのに襲いかかってくる気配もない」
「す、すみません……」
 申し訳なさというよりも、恐怖を感じている様子で鳥頭が頭を下げた。
「たるんでる。心を鍛え直すために、お前そこで倒れるまで腹筋してろ」
「え、でも俺、侵入者を……」
「あ?」
「なんでもありません! 了解致しました!」

「そもそもお前、魔王軍が今どのくらい世界を支配してるかわかっててそれ言ってんの?」
「え、えーと……」
 今度は、魔王の解答を待って優武はしばし口を閉ざした
「じゅ、十分の一くらい……?」
「〇点」
 弱々しい魔王の解答に、即赤点を返す。
「俺の見立てじゃ、今の魔王軍の支配地域……本来は魔族の居住区域で測るべきだろうが大マケで、魔王城を中心に人間が住んでいない地域と定義してやろう。それでも、大体三百平方キロってところだな。対して、確か前に調べてみたところ《グニューイクス》全体の面積は約六千万平方キロ。《外世界》を除いて、人間界に限っても四千万平方キロってところだ」
 淡々と語る優武の言葉の意味を、ほとんど理解出来ていないのだろう。魔王はポカンと口を開けて優武の話を聞いていた。
「つまり、魔王軍の支配地域なんて十分の一どころか人間界の十万分の一もねぇんだよカスが。そういうセリフは、せめて前の魔王軍くらい領地広げてから言えゴミクズ死ね」
「ひ、ひぃ……なんでこの勇者、こんなに口が悪いんじゃ……?」

「よしモア、じゃあ早速だけど決起会やんぞ。お前の部下、今ほとんど城門前で筋トレやってるはずだから呼んで来い」
「妾の部下どうなっとるんじゃ!?」
 まずそこにツッコミを入れてから、モアはハッと何かに気付いた様子。
「ちゅーか、なんでお主が妾に命令しとるんじゃ!? お主、妾の部下じゃよな!?」
「形式上はな」
「ハッキリ形式上言いおった!?」
「まぁでも確かに形式上とはいえ、モアに呼びに行かせるのは形式上マズいかもな。形式上部下である俺が、形式上ではあるが呼びに行ってやろう」
「何回形式上言うんじゃ……」



――とりあえず、形式上魔王の部下になってみた。



「お主も、理由もなく怒っていたわけではないのじゃな」
「失敬だな、人を理不尽にキレる若者みたいに」
「今日の出来事は、妾たちからすれば理不尽以外の何物でもないじゃろ……」
 モアの笑みが、更に苦味を増す。
「まぁ確かに、精神の成長が早いという一点だけで魔王と虫が似て非なるものであると判断したことは我ながら理不尽だったと思うが……」
「その点は理不尽に感じとらんわ!? そもそも似とらんし! ちゅーかお主、いつまで虫の話を引っ張る気じゃ!?」
「モアが蛹になる頃までかな……」
「そんな日は永遠に来んわ!」
「じゃあ永遠にモアは虫扱いだな」
「理不尽じゃ!?」

「モアは見た目も完全に人間だからな。可愛いから、オマケも付けてくれるかもしれん」
「か、可愛くなどないわ! いきなり何を言いおる!」
 多少赤くなった顔で抗議する
「いや、モアは可愛いだろ……」
「むぅ……」
 何言ってんだコイツ? という目で優武に見られ、モアはますます赤面して俯いた。
「じゃが……」
 再び上がってきたモアの顔では、やはり眉根が寄せられている。
「まだ何かあんのか?」
 優武も呆れ気味である。
「じゃが……」
 寄っていたモアの眉が、情けなさげな八の字型に変わっていく。
「妾、自分で買い物なぞしたことがないのじゃ……」
 弱々しい声と共に、優武を見上げる。
「それが躊躇してた最大要因か」
 ブフッと笑ってから、優武はモアの頭を乱暴に撫でた。
「魔王様も意外とビビリだな」
「しょ、小心者こそが真にこの世で生き残るのじゃ!」

「お主、優武に敬語なんぞ使わんで良いぞ? お主らは同僚なのじゃからな」
「はぁ、しかし……」
 チラと横目で見てくる鳥頭に、優武は鷹揚に頷いた。
「そうだぞ。俺への態度なんて、せいぜいモアと同程度でいい」
「なんで妾の方が下な前提なのじゃ!?」
 ナチュラルに自分の中のヒエラルキーを提示してきた優武にモアがツッコミを入れる。
「そうか……」
 そんな二人の様子を見て、鳥頭は小さく笑いながら頷いた。
「わかった。じゃあもうちょっと気軽に接するよ、優武、モアちゃん」
「なんで妾に対する態度まで下げるんじゃ!?」



――訪れるのは、不本意にも穏やかな日々。




「なんじゃ、この頭の緩そうな女は……?」
 そんなリナイスの様子に、やや引き気味なモアが傍らの優武を見上げる。
「こいつはリナイス。頭は緩いが、俺の知る限りじゃ世界最高の魔導師だ」
「頭緩くないですよ!?」
 抗議の声を上げるリナイスだが、それはにやけた口元から甘えるような口調で発せられたものであり、割と頭緩そうだった。
「よぅ、大将。相変わらずだな」
 優武の肩を後ろから叩いたキールは、楽しげな笑みを浮かべている。一瞬振り返ってその顔を確認した後、優武は親指で背後を指しながら再びモアを見下ろした。
「で、こいつはキール。俺の知る限り世界最強の剣士だ」
「キールだけ素直に褒められてる感じでずるいです!?」
 すぐさまリナイスの抗議が入る。
「で、こいつはキール。頭は緩くなく、俺の知る限り世界最強の剣士だ」
「なんだか私の頭の緩さが強調された感じに!? ていうか頭緩くないですよ!?」

「世界最高の魔導師に、世界最強の剣士に、救世の勇者様……あと魔王。こんだけ役者が揃ってりゃ、世界征服くらいどうにかなんだろ」
「……お主なんか今、妾の扱い凄いぞんざいじゃなかったか?」
 モアが優武に向けるのはジト目だった。
「そんなことはない。モアがさっき俺らにくれたパイ程度の扱いはしている」
「おまけ扱いじゃ!?」
 ツッコミを入れてから、モアは一つ溜息を吐く。
「ちゅーか確かに戦力が増えるのはありがたいが、この状況で単純に戦力増やしたところで何か意味あるんかえ? まずは国内の安定を図るのが先決じゃと先程言うたばかりじゃろうが」
「だからこそ、だ」
 自信ありげに、優武はニッと笑った。
「俺たちを戦いしかできない戦力バカだと思ってもらっちゃ困るぜ?」
「ほぅ? では、そうではないというところを見せてもらおうか」

「……って、なんでじゃ!? 全然そんな流れじゃなかったじゃろ!?」
 なんとなくその動きを見守っていたモアが、はたと我に返って叫ぶ。
「ハッ」
 するとその声で我に返ったらしいリナイスもパチリと目を開けた。至近距離で優武と目が合うと、慌てて飛び退く。その顔は、先程までより更に五割増しで赤い。
「す、すみません優武様! 久々に二人きりでお会いしたものですから、つい興奮してしまいまして……」
「既に妾の存在が認識から飛んでおる!?」
「で、相談って何だ?」
「お主の動じなさっぷりも凄いな!?」

「モアちゃんが、優武様の様子を見たいと言うもので」
 いつも通りのたおやかな微笑みを浮かべるリナイスに、周囲の人間が時折見とれて立ち止まっていた。
「……で、そのちびっ子はどうしたってんだい?」
 キールがリナイスの背後を覗きこむ。
「そ、その過程で死にかけたのじゃ……」
 肩で息をしながら、ほうほうの体で立っているモアがいた。
「うふふ、大げさですよモアちゃん。ちゃんとわたくしの魔力防壁がモアちゃんも護っていたでしょう?」
「そりゃそうかもしれぬが、めっちゃ怖かったのじゃ! 特に、なんか妾を覆う防壁がちょいちょい薄くなってたあたり!」
「あぁ、それはわたくしが優武様の事を考えるのに夢中になりすぎて、自分が何か抱えているんだったかいないんだったかよくわからなくなってたからですね」
「紙一重じゃな妾の防護!?」



――かつての仲間も集い、戦力ばかりが充実してくる今日この頃。
――不本意な、平和な時はもう少し続くと思っていたけれど。



「やっぱ、裏で手を引いてたのはアンタか」
「裏で手を引くなどと、とんでもない」
 小さく息を吐きながら言う優武に、ピィスは両手を上げて首を振る。
「今のこの国に不満を持たれている方々がいたようなので、少し知恵を貸したまでですよ」
「そういうのを、裏で手を引くって言うんだよ」
 キールが苦笑気味に笑った。
「しかしピィスよ、お前が大将の敵に回るとは思わなかったぜ」
「おや、僕は敵に回った覚えなどありませんが」



――終わる時は一瞬であると、元救世主は知っていた。



『それから、出来れば剣の主に伝えてやれ。その剣の魔力は持ち主の精神も蝕む。まともな人間でいたければ、さっさと手放すのをお薦めするってな』
 早口で喋っていた優武が、そこで一呼吸を置く。
『以上だ。倒そうと思わなくていいから、俺が着くまで粘れ。すぐ行くから待ってろ』
 その言葉を最後に、優武の声は聞こえなくなった。
「なるほどの」
 一つ頷き、モアは正面を見据える。
「だ、そうじゃがどうする?」
 モアに向け、黒い剣を構える少年を。



――それは恐らく、『魔王』にとって初めての試練であり。



(この程度の場面、妾一人で収めてみせねばなるまい)
 あったのは、ほんの少し残っていた魔王としての矜持。
(…………そしたら、少しは褒めてくれるかのぅ)
 それと、見た目相応に残った……ここ最近の生活で随分と表面に浮上してきた、誰かに甘えたいと思う欲求だ。



――さて、魔王軍が発するのは勝利の雄叫びか。



「……一つ尋ねる。このままでは、いずれアック王は死ぬのかえ……?」
「教えると思うかい?」
「冥途の土産の一つくらい、寄越してくれてもよいのではないか……?」
「そういうのは格下相手にやるもんだ」




――それとも、敗北の怨嗟か。



「あなたは、救世主様のために死のうと言うのか?」
「バカを言え、誰があ奴のためになぞ死んでやるものか」
 その笑みは、言葉とは裏腹に優しげだ。
「妾のこの行動は、魔族の今後のためと……あとは、ほんの少し残った魔王としての矜持のようなものじゃ」



――駈け出し魔王と。



「妾を討つのは、一人だけで十分じゃ」


――ーブチ切れ勇者。



「ふははははは! 一刻も早く世界を征服すること、俺は今ここに決意を新たにしたぞ! 果たして間に合うかな、ハルト君よ! ふはははははははは!」



――これは、その始まりの物語。



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コメント

1. ダイジェスト良かったです!(ノ^^)ノ

今、メロブに来ています(^^)v
リーフレット付き限定本ゲットしましたよ♪
帰って予約本も買います(笑)

2. れすぽんす

>anokoさん
お買い上げありがとうございます!
私も今日とりあえず2冊買いましたw

3. 本物は凄い

やっぱり、プロは違いますな。
ダイジェストが、すでに面白い!!

さ、本も届いたことだし。
お嫁ちゃん→私の順で。
読もうかと思っております♪

4. れすぽんす

>小若菜 隆さん
ぶっちゃけおいしいところを持ってきてる部分もありますけどねw
けど、本編通して読むときっともっと面白い! はず!
というわけで、よろしくお願いいたします!

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