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2017年9月30日(土)、『カンスト勇者の超魔教導 ~将来有望な魔王と姫を弟子にしてみた~』HJ文庫より発売!
第11回HJ文庫大賞『銀賞』受賞作です!

2017-10

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そのオーク、前世(もと)ヤクザにて

どうも、はむばねです。
最近は快晴の日が続いておりまして(今日は夕方微妙だったけど)。
セミたちも元気に鳴き始め、いよいよ「夏!」って感じがしてきましたね。
……まぁもっとも、気温的にはまだ全然夏本番って感じがしませんが……。
流石に、真っ昼間に外を歩きたくはねーなって感じになってきましたけれど。
室内にいる分には、扇風機で全然事足りる感じ。
なんかこう雰囲気的にはホント凄く「夏!」なのに、体感温度はそうでもなくて微妙に違和感を覚えます。
なんつーか、テレビ越しに夏の風景を見てる感じといいますか。
まぁしつこいくらい何度も書いてる通り、別段本格的な暑さを求めてるわけでは全くないんですけどね。
涼しければ、その方が良いのである。

そんなこんなで、感想です。
クリティカルなものは入れてないつもりですが、そこそこネタバレある気がするのでご注意を。


そのオーク、前世(もと)ヤクザにて (GA文庫)
SBクリエイティブ (2016-07-15)
売り上げランキング: 199


あらすじはAmazonより抜粋。
>「私はお前達オークを嫌悪している。特にお前のようなロクデナシをな」
>ここは大都アルバストラ。ヤクザである鬼瀬龍平(きせりゅうへい)の意識が覚醒した時、彼は自身が『豚(オーク)』=レイガスという囚人になっている事に気付く。
>そんな彼を憎み、だが自ら率いる≪天翼の騎士団≫に迎え入れたのは、ヴィオラというスカイ・エルフの女。
>二人は反発しあいながらも惹かれあうように……。
>一方でレイガスの自我はあの日から止まったままだ。
>――俺はどこにいた、俺は何だ?――
>葛藤の中、ヴィオラの身に大都の闇が迫る!
>それは前世と現世の因果なのか、答えを求め男は立ち上がる。
>戦え、オーク。運命をぶっ壊せ!
>第8回GA文庫大賞≪優秀賞≫受賞作。

異世界転移、強キャラ、意外な技能で周りに評価される。
この辺りのメイン要素は、まぁ正直なところ目新しいものではないと思います。
が、しかし。
これは、「テンプレ」ではなく「王道」です。
そう感じさせるのは、一つ一つの要素がしっかりと意味を持っているからでしょうね。
なんとなくトラックに轢かれたとかじゃなく、彼の意思でもって死地に赴き、死んだことにも意味がある。
なんか知らんけど転生してなんとなく異世界で過ごすのではなく、何者かの意図があり、転生したことにも意味がある。
なぜか持ってたチート能力ではなく、彼が前世培った生があるからこそのもので、強いのにも意味がある。
趣味だったとかなんだとかで取ってつけたように技能を持っていたのではなく、彼の人生に根ざした技能で、持っていることにも意味がある。
ホント、一個一個全ての要素に意味があって、それらが積み重なって一つの物語を紡いでいるのです。
美しい。
実に美しい構成です。

いやまー正直なところ、私も「ほーん、異世界転生チートものっすか(笑)」とハナホジで読み始めたんですよ。
しかし読み進めていくうちに、そんな小馬鹿にするような気持ちは吹き飛びましたね。
というか、どうでもよくなります。
なんというのでしょう、本格派? といいますか。
文章も構成も凄くしっかりしてて、グイグイ引き込まれました。
確かな地力でもって、凄く「ライトノベル」してます。

最初やけにヒロインに嫌われ蔑まれてる時も「ハッ、また十把一絡げの嫌われ展開っすか(苦笑)」と思ってたんですけども。
ちゃんと、彼女なりに嫌い蔑む理由があるんですよね。
ただ単に「世間の風潮だから」とかじゃなく、彼女の実体験を以って。
それが、グッと物語に厚みを増してます。
もう何度も何度も書いてますが、私はこういう「その瞬間その場面のためだけに生えてきたキャラ」じゃなく確かなバックグラウンドでもって培われたキャラが凄く好きなのです。

また、構成としてはまぁ沢山女の子がいる中に男一人ということで、いわゆるハーレムモノになるのかもしれませんけれど。
そういう、浮ついた感じもあんまりありません。
別に硬いとか暗いとかじゃなく、彼女たちとの会話は軽妙で楽しいものです。
しかしなんというか、主人公にチャラさや下心がホント一切感じられないんですよね。
どちらかというと、父親と娘たち?
もしくは、バカデカくて頼りになるけど優しい番犬?
おかげで、なんか凄く微笑ましく見ることが出来ました。
この雰囲気は、なかなかに珍しい気がします。

地味に、前世の話に滅茶苦茶スポットライトが当たるのも転生ものでは珍しいんじゃないですかね。
結構前世のことは放りっぱというか、下手こくと主人公が持ってる力の都合の良い言い訳にしかなってない物語もありがちだと思うのですけれど。
本作は、完全に前世ありきで物語が成り立ってます。
今世と前世、最初は全然別のように見えるお話が、話が進むにつれてクロスし始めまして。
今世の事件と前世の"業"のようなものが、複雑に絡み合っていきます。

前世で、全てを守れなかったから。
今世では、何かを守りたい。
守れなかった過去から今を守りたいというのも王道展開ではあるのですが、前世が悲惨すぎるせいで重みがハンパないです。
かといって物語全体として重苦しいわけでもなくて、むしろ今世については色んな種族の子たちと交流したりする、どちらかといえばほのぼのメインなストーリー。
この軽重の使い分けも上手いですね。

そして、主人公がマジ男前です。
イケメンとかじゃなくて、「男前」って表現が完全に合致します。
いや、イケメンでもあるんですけどね。
色んな意味で、こんな格好いいオーク見たことねぇよwww
なんというか、重量感がハンパない。
いや体重の話じゃなくて。
まぁ体重もだいぶ重いんでしょうけれど。
性格面で、物凄くどっしりと構えてる感。
何事にも動じない感じが凄まじいです。
でも、内面で何も感じないわけではなくて、むしろ結構センシティブだったりもするんですけども。
それでも、肉体的精神的痛みを如何に受けようと、それでも迷わず突き進める強さを持ってるんですよね。
ホント格好いいわ。
凄く、「大人の主人公」……いや、「漢の主人公」って感じ。
そりゃ子供たちも懐きますわ。
能力がスキルだなんだではなく、単純に「圧倒的な暴力」というのもいいですね。
実にヤクザである。
そんなヤクザが問答無用で敵をぶっ潰していく様が爽快です。

あと、変にヤクザを美化してないところもいいですね。
……いやまぁ、流石に物語の主人公をヤクザにするに当たって多少は「いいヤクザ」として描かれてはいますけど。
けど主人公も、周りも、ヤクザなんて碌なもんじゃないってことを逆に誰よりもわかってるんですよね。
綺麗事ではなく、さりとて汚いドロドロとしたものを見せるだけというわけでもなく、この辺りも良いバランスだったと思います。

総じて。
遠目に見る分には、目ぼしい材料を適当にぶっ込んだだけのゲテモノ料理に見えるかもしれませんが。
しかしその実、確かな下味の上でそれら材料の調和が奇跡的なバランスで見事に取られ、余計な材料など一つも存在しないし一つ足りとも欠けると不味くなる料理のような、非常に美しくまとまった作品だったと思います。
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