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2018-07

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表裏反転ぐるてんてるぐ

どうも、はむばねです。
本日は、小説の感想ですよっと。
なろう作品ですが、書かれているのは神近ゆう先生こと神ちくわ先生です。
今は、どっちに「こと」を付ければ良いのか正直わかっていないのですけれど。
本稿では、とりあえず神近先生表記で統一します。

一応補足しておきますと、神近ゆう先生は第1回スクウェア・エニックスライトノベル大賞短編部門で佳作を取られた方です。
受賞作の『チューニング』は、第2回短編小説カーニバルにもエントリされてましたね(もうページが消滅しているようなのでリンクは無し)。
当時の私の感想はこちら

ついでに補足しておきますと、私が毎日更新ツイートをリツイートするだけして1回も触れてなかった作品ですね。
感想を以って話題にしようと思っていたのですが、なかなかに書けなくてですね……。
理由は、実際感想見ていただければわかるかもしれませんが、書きたいことが多すぎてまとまらなかったためです(最終的にまとまったとは言っていない)。

なお、現在2章が更新されている最中ですが、本稿は1章までを読んでの感想となります。
ネタバレは、一応あんまり無いつもり。


表裏反転ぐるてんてるぐ

えー、とりあえずあらすじを書きます。
アニメとラノベを愛するあまり、輝ける青春の三年を見事棒に振ってしまった主人公が……。
……ちょっと待て。
ウェイト。
今、「あー、またオタクが主人公ね」「またなんか痛々しい感じの主人公なのね」とか思った貴方。
まず、断じてそれはノーであると言っておく。
この主人公の造形は、十把一絡げのキャラとは一線を画するものである。
単純な言葉では言い表せない複雑性を持っている。
勝手にレッテルを貼って、その時点でこの物語を見限るのは是非ともやめていただきたい。

話が逸れました。
えー、とにもかくにもそんな主人公なのですが、入学初日からオッドアイの美少女が彼の部屋に湧いて出て、彼女を巡る「裏世界」の騒動に巻き込まれ……。
……ちょっと待て。
ウェイト。
今、「あー、結局ありがちなボーイミーツものなのね」「結局美少女()に振り回される系の物語なのね」と思った貴方。
これも、断じてノーであると言っておく。
じゃあどういう話なのかというと「オタク崩れの主人公がある日突如現れた美少女を巡って騒動に巻き込まれる話」としかまとめられないのであるが、えぇいもういい! そんなことは忘れろ!
この作品を、あらすじで紹介することなど不可能だ!
とにかく本文を読め!
話はそれからだ!

と、のっけからトばしてしまいましたが。
恵まれた文章力から繰り出される、ハイセンスすぎる笑い。
そうだ……! これが、これが神近先生だった……!
コミティアで作品を出されているのですが読めておらず、私が神近先生の作品を読むのは短編カーニバル以来6年半ぶりなのですけれど。
当時読んだ記憶が、ハッキリと蘇ってきましたね。

正直、かなり独特の雰囲気だと思います。
一見かなり穏やかで綺麗な文章なんですけども、その実破壊力が物凄い。
とにかく笑いどころが多く、しかも1個1個の切れ味もやたら鋭いのです。
何度吹き出したことか。
通常そういう作品って作品全体がハイテンションになるものなのですけれど、神近先生の場合はそれが当てはまりません。
凄く淡々と進んでいく感じで、なのにクッソ笑えるという。
正直、ある種の狂気すら感じる雰囲気だと思っています。
どう考えても頭おかしい作品(褒め言葉)なんですけども、しかし文章はあたかも正統派文学のようで、「あれ、もしかして頭おかしくなってるのは自分の方なのかな……?」と思わされました。
ほんで、これがめっちゃ癖になるんや……。

この雰囲気は、主人公がナチュラル変態すぎるのも大きいでしょうね。
殊更自らアピールするようなファッション変態ではなく、むしろ自らは否定しつつも、言葉の端々から匂わせる変態感。
「あ、こいつマジのやつやな」と思わせるパワーがある。
その彼の一人称視点で、彼自身は無茶苦茶冷静で淡々としているんですけども、実際に起こってることはハチャメチャ。
そのギャップが、この雰囲気を生み出しているのかもしれません。
全然関係ないかもしんねーけど(適当)。

あと、笑いに圧倒的なインテリジェンスを感じるのも個人的にベリーグッドなところ。
奇行に対して絶叫ツッコミ入れるとかじゃなくて(そういう場面もなくはないけど)、基本的に言い回しの妙で笑わせてくるんですよね。
それでクスッとかじゃなくてブフォッ!? って吹かせてくるところが凄い。
『当意即妙キャラ目指してるのかと思った。どんなキャラだそれ絶対需要ない。けどプリパラにならいそう。』とか、クッソワロタわw
この辺りは『チューニング』の頃から健在……というか、むしろ進化してる気がしますね(流石にもう詳細は思い出せないけど)。

と、いうかですね。
よくぞあの頃のセンスを保ったまま、正統に成長してくださったものだと思います。
5年前に書いた作品のリライトだそうなので実質書いた時期はそんなに離れてないっぽいですけれど、だとしても。
感動すら覚えた。
2003年の笑い飯を見た紳助兄やんは、こういう気持ちだったのかもしれない。

そして、更に恐ろしいのは、これだけ笑いのレベルが高くありながら笑い特化ではないんですよね。
ストーリーとしても、よく出来てる。
おちゃらけてるだけに見せかけて実は(いつの間にか)話が動いてるし、章の終わりに近づくにつれ凄く続きが気になってくる。
理想的な話の転がし方ですね。

ここでもやはり文体が効いているのか、ホントに流れるように世界が歪んでいく様が表現されているんですよね。
でも起こってること自体はコメディ調なので、恐怖はない。
しかし、それが逆に怖くなってくると言いますか。
読んでる方が、「あれ? なん変な世界に迷い込んだのかな……?」という気分にさせられます。
裏世界(犯罪組織的な意味ではなく、文字通りの裏の世界)という設定そのものはそこまで斬新ってわけではないと思うのですが、それが味付け次第でここまで独特になるとはって感じ。

それと、ヒョウリ(ヒロイン?)のガチ感の描写もヤバい。
マジで別の世界の人間でこの世界の常識通じない感が滅茶苦茶出てる。
ただの不思議ちゃんってレベルでは断じて無い。
彼女の存在も、この雰囲気に大いに寄与している気がします(やっぱ関係ないかもしれねーけど)。


総じて。
少し大げさな表現になってしまうかもしれませんが……。
かつて私の目指した理想の一つであり、今はもう(作風的に)諦めてしまった到達点。
そこに達している作品だと思います。
ホント、端から端まで私の好みなんだよなぁ……。
もしかして、神近先生は別の世界線の私なのでは……? と思ったレベル。

ただ、これも正直に言ってしまうと、もしかするとこの作品が好きなのは私だけなのでは? という気もしています。
それほどまでに、私のストライクゾーンの超クソど真ん中を射抜いている。
誰かの核に刺さる程の作品は、得てしてあまり大勢には刺さらないものなのである。
いや、言うて『チューニング』も受賞に至っていたわけですし、それなりの一般性はあると信じたい所ですけども……。

とまぁ、結構長々と書いたわけですけれど。
全体的に、結局何が言いたいのかよくわかんねー感じになっちゃったな!
物凄く心震わされる作品に出会うと、なんか抽象的な表現しか出来なくなってしまう。
僕の悪い癖(唐突な右京さん)。

まー、万人受けするかというと正直あんまり自信はないのですけれど。
刺さる人に対しては物凄く深く刺さる作品だと思いますので、とりあえず読んでみてくださいな。
ただ、出来れば判断は最低でも2話目まで読んでから決めていただきたいところ。
1話はプロローグ的な感じで、2話目からはちょっと雰囲気が変わりますのでね(視点も変わるし)。
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