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受賞歴:
2004年、第1回スクウェア・エニックス小説大賞『入選』
2008年、第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞『徳間デュアル文庫特別賞』
2017年、第11回HJ文庫大賞『銀賞』
2017年、ジャンプ小説新人賞’16 Winter 小説フリー部門『銀賞』
2017年、第30回ファンタジア大賞 『金賞』

2019-10

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なんちゃってダイジェスト~お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか3~

「ツネちゃんは、私にとって『特別』なのですから」

「わ、私も! 平地くんのことを特別だと思ってます! 誰よりも、一番!」



──二人の少女から告げられた、想い。



「ご安心ください、庄川さん」
 だから僕は、その誤解を解くために微笑んだ。
「もちろん、貴女への気持ちだって少しも変わってはいません。好乃さんに対するものと、全く同じものを抱いていますよ」
『堂々と最低の発言だな!?』
 庄川さんのサポートを疎かにするつもりなんて微塵もないことを伝えると、クラスメイトの皆さんから一斉に驚きの声が上がった。
 ──二股宣言……。
 ──ハーレム……。
 ──マホオタと俺たち、どこで差がついた……。
 ざわめきの中から、そんな言葉が漏れ聞こえてくる。



──当の本人の認識は、ズレたものではあったけれど。



「すみません、今なんとおっしゃいました……?」
「あっ、それも知ってますっ! 難聴系主人公ってやつですよねっ! 鈍感系主人公とセットって聞いたことあります! ヒュウ! 使いこなしてるぅ!」
「いえ、聞こえてはいるんですけどその意味が……」
「実は、そんなセンパイを見込んでお願いがありましてっ! 今日お呼び立てしたのもそのためなんですよ~!」
 そっちこそ、僕の話を聞いてらっしゃいます……?
「と言いますのもぉ……」
 あっ、駄目だこれもう完全に本題に入っちゃう流れだ……。
「空橋センパイとの仲を、取り持っていただけませんかっ?」



「ヒラチの件について、協力しない?」
 ツネちゃんと別れた後、私を呼び止めて無人の教室まで導いた里崎さんは開口一番にそう言った。
「協力……ですか?」
 言っている意味自体は、もちろん理解出来た。
 だけどイマイチ信用出来ずに、私は目を細める。
「貴女は、庄川さんのお味方だと思っていましたが?」
「ん? まぁそうっちゃそうだけど、それとこれとは矛盾することじゃないでしょ?」
 いや、無茶苦茶ガッツリ矛盾すると思うんだけど……!?



「ツネちゃんさ、旅行に行くから付いてきてよ」
 突然、好乃さんがそんなことを言い出したのだった。
「は……?」
 寝耳に水ってレベルじゃなくて、僕はそう返すことしか出来なかった。
「いや、流石に男女二人で旅行っていうのは……」
「あぁいや、そうじゃなくてさ」
 苦笑気味に僕の言葉を遮る好乃さん。
「庄川さんも一緒だから、三人だよ」



──周囲の状況は、動き始めていく。



「もちろん、協力出来ることがあれば協力しますが……具体的にはどうすれば?」
「うん、だからね」
 グイ、と好乃さんが僕に身体を密着させてくる。
「ちょ、急に何を……!?」
「こうして、私をドキドキさせて欲しいの」
 咄嗟に身を引きかけた僕は、その言葉に動きを止めた。
「……なるほど。怪人をおびき寄せるわけですね」
「そゆこと。こんなこと頼めるの、ツネちゃんだけだからさ」



「狙うはキスだよ、街田さん」
 部屋に着くなり始まった作戦会議。
 里崎さんは、そんな言葉で口火を切った。
「キス……ですか」
 ツネちゃんとキス………………うっ、想像しただけでちょっとクラッと来た……。
「ちょ、ちょっと、それは今の私たちには相応しくないのでは……?」
 色々とすっ飛ばし過ぎでしょ……もうちょっと関係が近づいてからじゃないと……。
「うん。街田さんの言いたいことはわかってる」
 だけど、そんなことは里崎さんもわかってるってことか。
「高校生にもなってキスなんて、甘っちょろいこと言ってんなってことでしょ?」
 いや、やっぱり私の言いたいことが何一つとして伝わっていない……!
 逆! 時期尚早でしょうって言いたいんですけど!?



「狙うはキスだよ、お姉ちゃん」
 荷物を整理する私に、真琴がそんな風に話しかけてくる。
「釣りに行くってこと? うーん、でもそれは皆で決めないとだから……」
「いや鱚の話じゃなくて! ていうか、そんなお約束のボケいらないから!」
 あ、違ったんだ……。
「キス! 平地センパイ! しろ! 言ってる!」
 なんで原始人っぽくなってるんだろう……。
 えーと、「平地センパイにキスしろって言ってる」……って、ことでいいのかな……。
 ………………。
 …………。
 ……。
「……ふぇっ!?」
 何言ってるの!?



──旅行先で錯綜する、各々の思惑。



「あの……僕の顔に何か付いてたりします……?」
 なんとなく落ち着かなくて、少しソワソワしながら尋ねる。
「えぇ、まぁ、目と鼻と……それから、唇が」
 なぜだろう……ごく普通のことを言ってるだけなのに、なんだか捕食者に狙われているような気分になってくるのは……。
「……流石に、いきなりってわけにはいかないよね」
 かと思えば、好乃さんはふいに目を逸らして小さくそんなことを呟いた。
 いきなり……? 何のことだろう……?
「時にツネちゃん、後でサンオイルを塗っていただけます?」
「いきなり何言ってんですか!?」



「うん、そうだね」
 あんまり遅くなると、今度こそ本当に皆に心配かけちゃうしね。
 でも……せっかく二人きりなんだから、もうちょっと何か……あっ、そうだ。
 思いつきで平地くんの手に自分の手を重ねてみる。
「……えっ?」
 すると、平地くんは少し驚いた表情で振り返ってきた。
「あ、その……迷子になっちゃうと困るから……」
 なんだか急に恥ずかしくなってきて、早口気味に言い訳。
「な、なるほど……」



「さってセンパイ方っ! この後はどうしましょう!」
 もう一度リビングに全員集合したところで、真琴ちゃんが手を打って一同を見回した。
「ロケーション的に、山でも海でも行けるみたいですが……」
 そこで、チラリと空橋くんに目を向ける。
「空橋センパイ的には、山ガールがお好みですかっ? それとも、やっぱり水着が見たいですか~?」
「はは、俺はどっちでも構わないよ。皆はどうかな?」



──白熱する(?)、アプローチ合戦。



「お姉ちゃんの料理は、いわばガチャなんですよ」
『はい……?』
 僕と好乃さんの疑問の声が重なる。
「一番排出率の高いノーマルなら問題無しです。レアくらいでも、まぁちょっと形がおかしいかなってレベルに留まると思います。味までおかしくなるのはスーパーレアくらいのレア度でしょうか」
「あら、そうなのですね」
 意外と成功の可能性が高そうなことにホッとした様子を見せる好乃さんだけど……僕の方は、未だ不安が拭い去れていない。
「……ちなみに、レジェンドレアとかダブルスーパーレアとかいった類のランクが出た場合はどうなるのでしょう?」
 尋ねると、真琴さんはそっと視線を外した。
「……爆発しました」



「あっ、お経とか唱えながらの方がいいってことかな!?」
 確かにそうかも! えっと……南無阿弥陀仏……で、いいのかな……?
「そ、そうではなくて……腕……」
「……?」
 腕……? 腕がどうしたんだろう……? 私が抱きついている平地くんの腕……間近で見ても、何か変わったところがあるようには思えないけど……。
「………………いえ、何でもありません。失礼しました、行きましょう」
 しばらく迷ったような様子を見せてた平地くんだけど、そう言って首を横に振った。
「僕にはもう微塵の動揺もありませんので。この胸にあるのは、己の役割を果たさんとする使命感のみです。そう、庄川さんと同じくね」
 わっ、何かを決意したみたいなキリッとした表情……格好いいなぁ……ただ、使命感って何のことだろう……? 確かに魔光少女としての使命感は持ってるけど、そんなの平地くんが知るわけないし……。
「相手は小動物的存在、相手は小動物的存在……小動物……小動物……」
 それに、何かブツブツ呟いているけど……私の知らないお経かな……?



 い、いや待て落ち着け。今なら十分野生動物の線で誤魔化せる……!
「えぇ、どうやら野生のイタチのよう……」
「あっ、キミはでチュウ……」
「ですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
 喋り始めたチュウを、ヘッドスライディングで確保!
「ちょっと、何普通に話そうとしてんの……!? 一般人いるのわかってる……!?」
「ご、ごめんでチュウ……昼からずっと迷子だったとこにようやく知ってる人がいたのででチュウ……つい……でチュウ……」
「つい、で魔光少女の秘密を危機に晒さないでくれる……!?」



──時に、空回りしつつも。



「ワンパターンじゃ慣れてきちゃうから、色々と試さないとでしょ!」
「い、今のは好乃さんもドキドキしていたということですか……?」
「したよ! してるよ、ほら!」
 ツネちゃんの手を取って、私の左胸へと押し付ける。
「……って、ちょぉっ!?」
 一拍遅れて、驚きの表情で手を引こうとするツネちゃん。
 だけど私は彼の手を離さず、自分の胸に押し当て続けた。
「ね……? ドキドキしてるでしょ?」
 その手を通じて、私の鼓動が彼に伝わっていることだろう。
「わ、わかりました! してます! 確かにドキドキしてます! つまりさっきのは、魔光少女としての行動でもあったということですね! よぉくわかりました! ので、そろそろ離していただいてよろしいですか!?」



「あのね……私、昔から何かで競うのって苦手なの」
「え? あ、はい……そうですか」
 本格的に、何の話だ……? 確かに、庄川さんの性格が争い事に向いてないっていうのは間違いないと思うけど。
「だから、今回も……たぶん、無意識のうちに一歩引いちゃってたんだと思う」
 どうしてそんな、決意を秘めたような表情になってるんだろう……?
「でもね、これだけは負けたくないって思ってるから」
 そこで庄川さんはふいに顔を逸らし、胸を抑えながら大きく深呼吸した。
「うん……大丈夫」
 まるで、自分の心音を確認するような仕草。
 ドキドキパワーの確認……とか? しかし、なぜこのタイミングで……?
「今度は……私から。進もうと、思うの」



「それに、俺は見てきたからさ。庄川さんのために頑張る護常を、護常のために変わった庄川さんを。そんな二人だからこそ、ちゃんと上手くいって欲しいと思ってるんだ」
 そんな風にされると……私、勘違いしちゃいますよ……?
「な、なんて言って~。実は空橋センパイは街田センパイに恋してて、平地センパイのことを諦めさせたいから……とか、だったりして~?」
 その笑顔に引き込まれそうになるのを誤魔化すために、ついつい軽口を叩いてしまう。
「なるほど、なかなか面白い見解だね」
 空橋センパイは、笑みを深める……けど。
「だけど、ありえないよ」



──少しずつ、進んでいって。



「ツネちゃんはさ、好きな人いる?」



「だから……私と、付き合ってくださいよ……」



「真琴さんは、素敵な女性ですね」



──その気持ちは、どこに決着を迎えるのか。



「……恋、か」



──これは、彼ら彼女らの。



「私、お姉ちゃんだから」



──笑いと青春と。



「好──」
「……待ってください」



──愛の、物語。



「それでも……どうか、伝えさせてください」



──今度こそは、本当に。



「ぐぇぇっ!? おま、執拗に肝臓狙ってくるなって! つーかこっちはもう怪人やられてんだぞ!? 二対一な上に光による目潰しからのボディ攻撃とかガチすぎんだろ!?」
『問答無用だよ!』
「もういいよお前らに問答を求めるのが間違いだってようやく気付いたよ!」



──……いや、マジで。



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